鳥取大学宇宙教育プロジェクトは宇宙工学・地球科学・電子工学・科学技術政策などの専門家で構成されており、 宇宙を題材とした様々な教育活動の開発・検討を行う目的で設置されました。
「宇宙」という言葉には言い知れない魅力があるようです。珍しい天体現象が起きれば、 子供たちはもちろんのこと大人たちもこぞって空を見上げます。 美しい星空がみられるスポットは天体観測だけではなくデートスポットとして有名になったりします。 小天体「イトカワ」からの帰還に成功した「はやぶさ」のストーリーは広く報道され、それまで宇宙科学や宇宙工学に関心を持たなかった多くの人々に感動を与えました。
宇宙を取り巻く学問領域は非常に広くて多様です。 皆さんは天文現象や宇宙の成り立ちを研究する天文学・惑星科学・地球科学などの宇宙科学、 探査機や観測機器・ロケットを研究開発する航空宇宙工学・機械工学・流体力学などの宇宙工学を思い浮かべるかもしれません。 これらは宇宙を取り巻く学問分野を代表するものですが、しかし宇宙にまつわる学問はこれだけではありません。
ひとつの例ですが、たとえば宇宙を考えることは私たちが生きている世界を考えることでもあります。 私たちが生きている世界がどのようなものか、どこにいくのかという問いに答えようとするときには宇宙科学だけではなく哲学の力が必要になります。 これは一見すると科学とは縁遠いように思えるかもしれません。このような分野は宇宙論(Cosmology)と呼ばれます。
もうひとつ例をあげましょう。天文学の歴史は、私たちが「科学」と呼んでいるものの発展と密接な関係があります。 今日では占星術を科学と呼ぶ人は少ないかもしれません。でも、ほんの300年前まで占星術や錬金術は最先端の学問だったのです。 では私たちが「科学」と呼んでいるものはいつどのようにできたのでしょうか。これから「科学」はどのように変化していくのでしょうか。
宇宙という切り口から多くのことを考えることができます。 そして星空の美しさやロケット打上げの迫力に代表されるように、宇宙には多くの人に訴えかける魅力があります。 私たちはこうした魅力を活かして様々な取り組みを行っていきます。 これらの取組みを通じて科学や技術に親しみ、さらに科学や技術と社会のより良いあり方を私たちと一緒に考えていただければと願っています。